「ボードゲームを研修に使っている会社は、実際どれくらいあるのか」
「同じような会社は、何のために使っているのか」。
ボードゲームの活用を考える担当者の方から、よくいただく質問です。
ところが、企業のボードゲーム活用について、国内の利用状況を示す公的な統計は、私たちが調べた範囲では見つかりませんでした。
そこでこの記事では、ASOBOARDに実際に問い合わせいただいたたボードゲーム研修・制作の相談案件を集計し、どんな組織が、何のために、どのくらいの予算規模で検討しているのかを分析しました。
数字だけでなく、そこから読み取れる構造と、これから検討する会社への示唆までまとめています。

合同会社ASOBOARDでは、貴社の目的・課題に合わせた最適なオリジナルボードゲーム開発や研修プログラムの設計を専門としています。まずはお気軽にご相談ください。
<ASOBOARDの強み>
- ビジネス課題をゲームに落とし込める課題解決のプロ集団
- 事業開発、採用コンサル、マーケターなど、複合的な専門性を持つメンバーで提案
- 企画から製造までの一気通貫に加え、ルール検証やデザインのみなど柔軟なご支援が可能
サマリ:お問い合わせから見えた5つの傾向
- 「研修」と「社外に伝える」ためが約半々。テーマ別では認知・販促が48%で最多、業務研修は30%でした。
- 同じ大企業でも、目的が分かれる。相談の7割は従業員1,000名以上。ただし5,000名以上の規模では同規模内で9割が研修、1,001〜5,000名は、同規模内で8割が社外向けコンテンツでした。
- 業界によって、使い方がはっきり違う。教育系では9割が社外向け、IT・コンサル・人材は7割が業務研修でした。
- 相談の3割は、複数回相談した組織から。1本目のあと、シリーズ化や別の用途への展開で相談が広がっていました。
この5つの傾向の奥には、「誰が予算を持つか」「予算の周期」「1本目が次を生む」という3つの構造があります。記事の後半で、立場別の示唆とあわせて解説します。
調査の概要
ASOBOARDに寄せられた実際の問い合わせ内容を集計し、下記内容で調査・分析をしてまいりました。
正直、他社を見ても問い合わせ内容の分析・傾向を外部に公開している企業は少なく、あまり見たことがありません。ただ、私たちアソボードとしては、ボードゲーム制作の発注の参考に少しでもなっていただきたいのが本望です。もし、いいなと思ったら問い合わせいただけますと幸いです。
| 対象 | ASOBOARDの案件管理表に記録された、法人・団体・個人からのの相談件数 |
|---|---|
| 期間 | 2024年12月〜2026年8月に記録した相談 |
| 項目 | 相談経路、従業員規模、業界、相談テーマ、用途など |
| 集計の方法 | 項目ごとに、記録内容を集計。 |
| 掲載しない情報 | 件数、社名、金額、商談の結果 |
傾向1:ボードゲームの相談の半分は、研修ではなく「社外に伝える」ため
まず、相談のテーマを大きく分けました。

図:相談テーマの内訳
最も多かったのは認知・販促活動で、48%でした。業務研修は30%、組織研修と採用コンテンツが8%ずつです。教育コンテンツを含めると、社外の人に向けたゲームの相談が、ちょうど半分を占めました。
「ボードゲーム=研修」というイメージを持つ方は多いと思います。実際には、自社の商品やサービスを知ってもらうため、研究の成果を市民に伝えるため、イベントで来場者に体験してもらうためといった、社外に何かを伝える道具としての相談が同じくらい寄せられています。
もう一段細かく、何に使うかで分けると次のとおりです。

図:相談の用途の内訳
用途で最も多かったのは「エンゲージメント・交流」の32%、次いで「シリアスゲーム」の23%でした。シリアスゲームとは、研究成果や社会課題を遊びながら理解してもらうためのゲームです。
考察:「交流」の相談は、社内とは限らない
最も多かったエンゲージメントの相談を、テーマ別に分けました。

図:エンゲージメントの相談のテーマ内訳
半分は社員向けの研修でしたが、43%はお客様や取引先との関係づくりを目的にした認知・販促の相談でした。同じ「交流を増やしたい」という言葉でも、社内の部署の間なのか、会社とお客様の間なのかで、作るべきゲームはまったく変わります。相談の最初に「誰と誰の交流か」を確かめることが、遠回りに見えて一番の近道です。
傾向2:企業規模が同じでも、ボードゲームを使う目的が分かれる
規模が分かる相談の内訳は、次のとおりです。

図:従業員規模の内訳
規模の分かる相談のうち、従業員1,001名以上の組織が70%でした。同じ組織からの複数の相談をまとめて組織の数で数えても、57%が1,001名以上です。
ここまでは「大企業ほどボードゲームを検討している」という、予想どおりの結果に見えます。ところが、目的を掛け合わせると違う姿が見えてきます。
規模ごとに、何のためにゲームを作りたいかを比べました。

図:従業員規模別の相談の目的
5,001名以上の組織は86%が研修で、用途の多くがエンゲージメントでした。一方、1,001〜5,000名の組織は69%が社外向けです。同じ「大企業」でも、研修として検討する組織と、伝える道具として検討する組織に分かれているのです。
考察:規模よりも「どの部署が主導するか」が効いている
私たちASOBOARDの見立てでは、この違いは規模そのものより、相談を主導する部署の違いから来ています。
5,001名以上の組織では、人事・研修部門が年間の研修計画と予算を持ち、拠点や部署をまたぐ交流の場をつくる必要に迫られています。
1,001〜5,000名では、事業部や広報が自分の予算で、商品やサービスを伝える企画としてゲームを検討していると考えられます(相談者の部署は記録していないため、相談テーマからの推定です)。
規模ごとの進め方は別記事「従業員規模別|ボードゲーム研修の進め方と予算の考え方」で詳しく解説予定ですす。
傾向3:業界によって、ボードゲームの使い方がはっきり違う
業界の内訳は、次のとおりです。

図:業界の内訳
業界の分かる相談では、教育が27%で最多でした。IT・コンサル・人材の20%、製造・建設の18%を合わせると、3つの業界で3分の2を占めます。
業界と相談テーマを掛け合わせると、業界ごとの使い方の違いがはっきりします。

図:業界と相談テーマの関係
- 教育:92%が社外に伝えるための相談で、ほとんどがシリアスゲーム。研究の成果を市民や学生に届ける道具として検討されています
- IT・コンサル・人材:67%が業務研修。目に見えにくい仕事の流れや判断を、新人や内定者に体験で伝えたいという相談です。
- 製造・建設:研修・採用・販促に分散し、使い方が最も幅広い業界でした。エンゲージメントの相談でも、業界別で最も多い43%を占めています。
考察:無形のものを扱う業界ほど、業務研修に使う
IT・コンサル・人材のように、扱うものが目に見えない業界ほど、業務研修の相談が多くなっていました。仕事の中身を言葉で説明しにくく、現場に出るまで判断の重さを実感しにくいからだと考えられます。反対に、製造・建設のように工程や拠点が分かれている業界では、部署の間の交流や、採用で現場の仕事を伝える相談が多く見られました。
傾向4:ボードゲーム制作の相談の約3割は、2本目以降
まず、相談の経路を見ます。経路の分かる相談のうち、既存のお客様からの相談が20%ありました。同じ組織からの複数回の相談まで広げると、全体の28%になります。

図:相談経路の内訳
同じ組織から複数回相談をいただいたケースを、広がり方で整理しました。

図:複数回相談した組織の広がり方
広がり方は、組織ごとに違いました。教育機関はテーマを変えながらシリーズ化し、物流会社は社員研修から別の階層の研修、さらに社外向けの企画へと広げています。人材サービスの会社は、インターンシップのゲームのあとに、社員向けのワークを相談されました。
考察:1本目が、次の相談を社内で生む
これらの組織に共通していたのは、1本目を社内で使ったあとに、「別の部署でも使えないか」「社外向けにも作れないか」という声が社内から出てきたことです。
進め方を一度経験しているため、2本目は社内の説明もしやすくなります。
補足:パートナー経由の相談は、情報が少ないまま始まる
最終的にゲームを使う会社の情報が、どれくらい分かった状態で相談が始まるかを比べました。

図:規模が分からないまま始まる相談の割合
研修会社・広告代理店などパートナー経由の相談は、約半数(45%)が、ゲームを使う企業の規模も分からないまま始まっていました。直接のご相談(23%)の約2倍です。使う企業の課題が見えないと、機能するゲームは提案できません。ASOBOARDでは、パートナーの方とご一緒する際、ゲームを使う企業のご担当者にヒアリングさせていただいています。
考察:ボードゲーム活用の相談は、4つのタイプに分かれる
ここまでの5つの傾向を、「ゲームを使う相手(社内か社外か)」と「使い方(繰り返し使うか、単発の場で使うか)」の2つの軸で整理すると、相談は4つのタイプに分かれます。

図:相談の4つのタイプ
今回のデータで目立ったのは、左上の「研修として計画する」と、右下の「販促の企画で使う」の2つです。
前者は毎年の研修計画に組み込み、繰り返し使う。後者は使う場面が決まっていて、その場で商品やサービスを覚えてもらう。自社の相談がどこに当てはまるかで、動き出す時期と準備するものが変わります。
さらに、5つの傾向がなぜ起きているのかを掘り下げると、次の3つの構造が見えてきます。

図:データの奥にある3つの構造
この3つは、ボードゲームに限らず、研修や販促の外部委託全般に当てはまる構造かもしれません。ただ、オリジナルのボードゲームは制作に数ヶ月かかり、一度作ると何年も使えるという特徴があるため、予算の周期と「次につながる設計」の影響が特に大きく出ていると考えています。
示唆:ボードゲームの活用を検討する会社がやるべきこと
分析の結果から、これからボードゲームの活用を検討する会社への示唆を整理しました。

図:発見から導いた示唆と次の一歩
中でも見落とされやすいのは、4つ目の「研修なら前年の秋に予算案へ入れる」です。研修は来年度の予算に載ってから新年度に発注されることが多く、相談を始めた時期によっては実施が1年先になります。実施したい時期から逆算して、予算案を作る11〜12月までに、概算の金額と目的を固めておくことが、最も確実な進め方です。
立場別:最初の一歩
相談のテーマから、相談者の立場ごとの傾向を整理しました(立場はテーマからの推定を含みます)。

図:立場別の最初の一歩
どの立場でも共通するのは、最初の相談の時点で「ゲームを作ること」ではなく、「ゲームのあとに、誰に、何が起きていてほしいか」を1文で言えるようにしておくことです。
そこが決まっていれば、オリジナルで作るべきか、市販のゲームで足りるかまで、最初の打ち合わせで判断できます。
この分析の限界
- ASOBOARDに寄せられた相談のみを集計しており、市場全体の傾向を示すものではありません。
- 1社の相談データのため、割合は傾向として読んでください。特に規模・業界の中で相談の少ない区分は参考値です。
- 同じ教育機関から継続して相談があり、「教育」「1,001〜5,000名」「シリアスゲーム」の割合を押し上げています。
- テーマ・用途・業界の分類はASOBOARDが判断したものです。企業規模は公開情報から付与しており、推定を含みます。
- 考察と示唆は、データとASOBOARDの制作経験をもとにした見立てです。
この分析は半年ごとに更新し、Vol.2以降で変化を追っていく予定です。
まとめ
- ボードゲームの相談の半分は、研修ではなく社外に伝えるため。「交流」の相談にも、社内向けと社外向けがある。
- 同じ大企業でも、5,001名以上は研修、1,001〜5,000名は社外向けと目的が分かれる。規模より、主導する部署で進め方を選ぶ。
- 業界によって使い方は違う。教育はシリアスゲーム、IT・コンサル・人材は業務研修、製造・建設は幅広い。
- 発注の判断は新年度の5〜7月に集まり、納品は3月が最多。動く時期を決めているのは予算の周期。
- 相談の約3割は2本目以降。1本目の設計が、次の相談の広がりを決める。
よくある質問
Q.この分析のデータは、どこから集めたものですか?
A. ASOBOARDに寄せられた相談を記録している案件管理表から集計しています。件数・社名・金額・商談の結果は掲載していません。
Q.研修ではなく、販促やイベントのためのゲームも相談できますか?
A. できます。今回の分析でも、相談の半分は社外向けでした。商品やサービス、研究の内容を体験で伝えるゲームを制作しています。
ASOBOARDが選ばれる理由
私たちASOBOARDは、企業研修・採用・組織開発を目的としたオリジナルボードゲームを、企画から製造まで一気通貫で手がける制作会社です。
HR・採用コンサルティングの豊富な実務経験やゲーム設計・商業流通の実績を持ち、それらの複合専門性によって、貴社の業種・現場特有の課題を、実践的な判断力が身につくゲーム構造へと落とし込みます。
独自メソッドにより、被害経験のある従業員にも配慮しながら、緊張感と安心感のバランスが取れた研修設計を行います。企画から、企画のみ・製造のみといった部分的なご依頼にも対応可能です。
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弊社ASOBOARDは、貴社の組織課題や目的に完全にフィットするオリジナルボードゲームを提供しております。
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