資料を配った。動画も見せた。説明会も開いた。それでも現場が動かない。
研修や社内浸透の担当者がよく抱える悩みではないでしょうか。その原因の多くは、内容ではなく伝達手段と目的のミスマッチにあると私たちASOBOARDは考えます。
テキスト、画像、動画、VR、そして対面のリアルな場。伝える手段は増え続けていますが、「何を伝えたいか」によって、向く手段は変わります。この記事では、各手段が何に強く何に弱いかを整理したうえで、ボードゲームがどの伝達課題に向く手段なのかを、ASOBOARDの独自の見解を解説していきます。

合同会社ASOBOARDでは、貴社の目的・課題に合わせた最適なオリジナルボードゲーム開発や研修プログラムの設計を専門としています。まずはお気軽にご相談ください。
<ASOBOARDの強み>
- ビジネス課題をゲームに落とし込める課題解決のプロ集団
- 事業開発、採用コンサル、マーケターなど、複合的な専門性を持つメンバーで提案
- 企画から製造までの一気通貫に加え、ルール検証やデザインのみなど柔軟なご支援が可能
はじめに
本記事での言葉の使い方
「伝わった」には、深さの段階があると考えており、この記事では次のように区別していて解説したいと思います。
| 段階 | 意味 | 例 |
|---|---|---|
| 知らされた | 情報が届いた | 新制度が始まると知った |
| 理解した | 内容を説明できる | 新制度の仕組みを説明できる |
| 腹落ちした | 自分ごととして納得した | 自部署でこの制度が起こす問題が見える |
| 動ける | 状況の中で判断・行動できる | 制度を前提に、現場で優先順位を決められる |
テキストや動画が得意なのは、主に最初の2段階と捉えており、3段階目以降をどう届けるかが、この記事の主題であり、ボードゲームが得意としている領域だと考えます。
伝達手段を比べる軸の定義
伝達手段の優劣を語る前に、比べる軸を決める必要があるため、次の5つを用いてそれぞれの伝達手段を比較していきます。
| 軸 | 問い |
|---|---|
| 関与 | 受け手は、見ているだけか。自分で何かを決めるか |
| 帰結 | 自分の判断の結果が、その場で返ってくるか |
| 相互作用 | 他の人の反応や、別の立場の動きが見えるか |
| 準備の負荷 | 作る・用意するのに、どれだけ費用と時間がかかるか |
| 更新と規模 | 内容を直しやすいか。大人数に同時に届くか |
手段ごとの特性
メディアの「豊かさ」
コミュニケーション論には、Daft & Lengel(1986)のメディア・リッチネス理論があります。手段の「豊かさ」を、①フィードバックの速さ、②伝える手がかり(声、身振り、表情など)の数、③自然言語の使用、④個人への焦点、の4基準で捉え、対面の会話を最も豊か、数値中心の公式報告を最も乏しいと位置づけます。
一方で、この理論には限界も指摘されています。
- 新しいメディアでの検証結果は一貫していない
- 慣れによって、乏しい手段が豊かに感じられるようになる(チャネル拡張理論)
- 手段の選択は、課題との適合だけでなく、集団の慣習にも左右される
そのため、本記事はこの理論を、手段を整理する「視点」として使い各手段の特性を後述で見ていきます。
各手段の強み弱み
| 手段 | 強み | 弱み |
|---|---|---|
| テキスト | 正確、検索できる、更新しやすい、安価 | 受け手が能動的に読まないと届かない。状況は想像に頼る |
| 画像・図 | 構造や関係を一目で示せる | 判断を促す仕掛けにはならない |
| 動画 | 状況・表情・手順を再現できる。大人数に同じ内容を届けられる | 基本は受動的。見終わっても、自分が判断する場面はない |
| VR | 現場の状況を、視覚・聴覚で再現できる(危険作業や稀な事態など) | 費用、制作期間、酔い。社会的な状況(複数人の利害調整)の設計は別途必要 |
| リアルな場(対話・講義) | 反応が即座に返る。細かな温度感が伝わる | 場の質が進行役に依存する。再現性が低い |
VRの現実的な負荷
VRの導入では、研修で活用するには、次のような負荷が一般に挙げられています。
| 項目 | 目安 |
|---|---|
| ヘッドセット | 1台あたり、スタンドアロン型で5万〜15万円、PC接続型で5万〜20万円(別途PCが必要) |
| オリジナル開発 | 300万〜1,000万円程度がボリュームゾーン。内容によっては数千万円規模 |
| 制作期間 | 数ヶ月から1年以上かかる場合がある |
| VR酔い | めまい、吐き気などの個人差があり、1回15〜20分程度に区切る対策が挙げられている |
これはVRの価値を否定するものではありません。危険作業の疑似体験や、現場の空間そのものを再現したい場合には、VRが最適な手段になります。
各手段が届きにくい領域
ここまでの整理で、残る課題が見えてくると考えます。
複数の人が、それぞれの立場で動く状況の中で、自分の判断が全体にどう波及するかを「腹落ち」させたい
たとえば次のような場面です。
| 伝えたいこと | テキスト・動画では |
|---|---|
| 部門間の利害がぶつかる構造 | 「そういうものだ」と理解はできる |
| 限られた予算・人員の配分判断 | 事例として読める |
| 新制度が各部署に与える波及 | 図で説明できる |
| 全社目標と部署目標のずれ | 説明できる |
これらは「見える化」しても腹落ちしにくい課題ですが、その場に身を置いて、実際に誰かとやり取りしながら決めないと、実感が生まれにくいためです。
ボードゲームはどこに位置するか
では、我々ASOBOARDが提供するボードゲームは、どの様な位置付けになるのか解説していきます。
「没入感」は2種類
「リアルな場でVRのような没入感を得られる」という言い方をされることがあります。ここは丁寧に分ける必要があります。
| 項目 | 感覚的没入 | 当事者的没入 |
|---|---|---|
| 何が没入するか | 視覚・聴覚が、その空間にいる感覚になる | 自分の判断が結果を左右する当事者になる |
| 代表的な手段 | VR | ボードゲーム、対面のシミュレーション |
| 向く課題 | 空間・手順・危険の疑似体験 | 利害調整、資源配分、意思決定 |
当社が主張するのは、ボードゲームは「当事者的没入」を生みやすい伝達手段であり、それは複数人の判断を伝える課題に向く、という点です。これは当社の設計上の考察です。
当事者的没入とは、研修に参加する本人が、本番の環境に近いイメージで体験することその環境にのめり込んでいる様な状態と考えております。
当事者的没入が生まれる3つの仕組み(設計上の考察)
| 仕組み | 内容 | 該当する軸 |
|---|---|---|
| 判断が盤面に反映される | 自分が決めたことで、状況が変わる | 関与、帰結 |
| 他の人の動きが即座に返る | 別の立場の相手が、自分の判断に反応する | 相互作用 |
| 同じ物理空間を共有する | カード、駒、盤面という共有物を囲んで進める | 相互作用 |
画面越しの動画視聴では、受け手は他の参加者から切り離されます。ボードゲームでは、他の参加者が、自分の判断の影響を受ける存在として目の前にいます。この違いが、「腹落ち」の深さに影響すると考えています。
5つの軸で比べた各手段のとの位置づけ比較
| 伝達手段 | 関与 | 帰結 | 相互作用 | 準備の負荷 | 更新・規模 |
|---|---|---|---|---|---|
| テキスト | △ | × | × | ◎ 軽い | ◎ |
| 画像・図 | △ | × | × | ○ | ◎ |
| 動画 | △ | × | × | ○〜△ | ○ |
| VR | ○ | ○ | △〜○ | × 重い | △ |
| 対面の講義・対話 | ○ | △ | ○ | ○ | △ |
| ボードゲーム | ◎ | ◎ | ◎ | △〜○ | △ |
ボードゲームも加えて、冒頭で定義した比較軸な表になります。
▼ 伝えたい内容に、どの手段が向くのかを整理したい方へ
伝えたい内容を「知らされた〜動ける」の段階で整理し、ボードゲームが向いている研修要件や内容をお伝えします。
\ ボードゲーム制作のご相談は下記から /
ボードゲームが向かない課題
ボードゲームの手段が向かない課題についても触れておきます。ボードゲームは単なるリアルコミュニケーションを促すものではなく、複数人の判断に関わる腹落ちができる手段でもあります。
| 向かない課題 | 理由 | 向く手段 |
|---|---|---|
| 正確な手順・仕様の伝達 | 遊びの中では、細部の正確さは担保しにくい | テキスト、マニュアル、動画 |
| 危険作業・身体動作の訓練 | 空間や身体の感覚は、盤面では再現できない | VR、実地訓練 |
| 数百人に同時に同じ内容を届ける | 卓単位の運営になり、拡張に人手がかかる | 動画、eラーニング |
| 単発の周知(お知らせ) | 準備に対して見合わない | テキスト、動画 |
研修手段の組み合わせ方
実際の研修や社内浸透では、単一のテキスト研修のみではなく、複数の手段を組み合わせて、インプットを行いアウトプットをできる環境構築が重要になると考えます。「どれか一つ」ではなく、段階ごとに手段を使い分けることで、全体の伝わり方が変わります。
| 目的 | 手段の組み合わせ例 |
|---|---|
| 新制度を浸透させる | 動画で全体像を周知 → ボードゲームで各部署への波及を体験 → テキストで詳細を参照 |
| 安全意識を高める | VRで危険の疑似体験 → ボードゲームで、現場判断と報告のやり取りを体験 |
| 他部署への理解を深める | 動画で他部署の業務を紹介 → ボードゲームで、他部署の立場を担当して判断 |
ボードゲームでは、座学でインプットした内容を深めるために活用されたり、座学のインプットでは体感や理解が難しい内容を、ボードゲームを通じてインプット・アウトプットをしていただく、そんな活用をされる企業様が日頃の問い合わせから多く見受けられます。
ボードゲーム制作費用と期間の目安
| 対応範囲 | 費用感の目安 | 制作期間の目安 |
|---|---|---|
| 既存ゲームを活用したゲーム設計 | 数十万円 | 約1〜2ヶ月 |
| 業種・階層別のオリジナル企画・製造 | 150〜300万円 | 約2〜3ヶ月 |
| 全社展開を前提としたフルオリジナル設計・運営まで一気通貫 | 200〜400万円 | 約3ヶ月〜 |
義務化まで残された期間を踏まえると、早めの着手が重要です。まずは無料相談で貴社の状況・スケジュール感をお聞かせください。
\ ボードゲーム制作のご相談は下記から /
まとめ
- 伝わり方には、知らされた・理解した・腹落ちした・動けるの段階がある。テキスト・動画は前半に強い
- メディア・リッチネス理論は、手段を整理する視点として使える。ただし対面が常に最良という根拠にはならない
- VRは、空間・手順・危険の疑似体験に最適。一方、費用・制作期間・酔いの負荷があり、複数人の利害調整は別設計が要る
- 「VRのような没入感」ではなく、ボードゲームは当事者的没入を生みやすい手段と、当社は考える
- ボードゲームは、正確な手順の伝達や大人数への同時配信には向かない。複数人の判断に関わる腹落ちに有効活用できる手段
- 研修手段は一つに絞らず、段階ごとに組み合わせる
オーダーメイドの研修用ボードゲーム制作をご検討中の方へ
伝えたい内容に向く手段から、ご一緒に整理します。ボードゲームが向かない場合は、その旨をお伝えします。
ASOBOARDが選ばれる理由
私たちASOBOARDは、企業研修・採用・組織開発を目的としたオリジナルボードゲームを、企画から製造まで一気通貫で手がける制作会社です。
HR・採用コンサルティングの豊富な実務経験やゲーム設計・商業流通の実績を持ち、それらの複合専門性によって、貴社の業種・現場特有のカスハラ課題を、実践的な判断力が身につくゲーム構造へと落とし込みます。
独自メソッドにより、被害経験のある従業員にも配慮しながら、緊張感と安心感のバランスが取れた研修設計を行います。義務化までのスケジュールに合わせた企画から、企画のみ・製造のみといった部分的なご依頼にも対応可能です。
義務化対応は待ったなしですが、焦って画一的な研修を導入するよりも、貴社の現場に即した設計を丁寧に行う方が、結果的に定着の早い研修になります。
オリジナルボードゲーム制作の無料相談実施中!

弊社ASOBOARDは、貴社の組織課題や目的に完全にフィットするオリジナルボードゲームを提供しております。
「まずは一度試してみたい」「具体的な費用感を知りたい」といったご相談や体験会のご要望も歓迎しております。企画から全て任せたい企業様はもちろん、デザインなしでゲームルールの検証・バランス調整のみに重きを置きたい、あるいは企画・デザインは完了し印刷・製造のみを依頼したいといった、あらゆる制作段階に対応可能です。
- 企画から製造まで全て任せたい方は【一気通貫サービス】
- ルールのバランス調整のみ頼みたい方は【検証特化サービス】
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貴社のフェーズやリソースに合わせて、最適な形でプロジェクトを支援いたします。まずは「どんな課題を解決したいか」、その想いをお聞かせください。
よくある質問
Q. ボードゲームは、VRの代わりになりますか?
A. 代わりにはなりません。向く課題が異なります。空間や身体感覚の疑似体験はVR、複数人の利害調整や資源配分の判断はボードゲーム、というのが当社の考えです。組み合わせも可能です。
Q. 「体験するほど記憶に残る」と聞きますが、本当ですか?
A. 「読む10%、聞く20%…行う90%」といった数字は、出典が確認できないことが知られています。この数字の元とされる学習ピラミッドは、研究の裏づけが見つかっていません。エドガー・デールの「経験の円錐」にも、そのような数値はありません。当社は、これらの数字を根拠として使っていません。
Q. 企業でのボードゲーム活用は、増えているのですか?
A. 一般のアナログゲーム市場は拡大していますが、企業研修向けの需要の増加を示す統計は、当社の調査では確認できていません。一方で弊社に毎月、企業独自のボードゲームの制作に関する問い合わせをよくいただきます。研修・販促活動・新規サービスの浸透など用途は様々です。
Q. 動画研修で十分な場合もありますか?
A. はい。正確な手順の伝達や、大人数への同時配信は、動画が適しています。ボードゲームは、動画で理解したことを、複数人の判断の場面で使う段階に向きます。

